ネオ沖縄そば時代


撮影が目的で訪れたため、実際に食べる事が叶わなかった石垣島の赤石食堂の炙りソーキそば。
石垣島のサバニチーム「うなぢゅら」を卒業した我々には、大変有難い合同練習のお誘いを受けながらも中々現地を訪問する機会も無いが故に、あの炙りソーキそばは既に幻の食べ物になりつつあるのだが、一方では少々値が張る食事であるとも感じていた事がある。

今では東京のコンビニでカップ麺を手に入れることが出来るほどに沖縄そばは、すっかり全国的に有名になった沖縄の庶民の食べ物ではあるが、ここ数年の地元での沖縄そばに対する工夫や探求は素晴らしい。中でも、味や満足感を安易に高めることが出来る「油」に決して逃げる事無く、昔ながらの製法や手打ち麺にこだわったり、スープの素材にアグー(県産オリジナルの古来種の豚)を使ってみたりと、その努力からは地元を愛するが故の熱意がひしひしと伝わる。

友人に教わった新都心の「てぃあんだー」、その店名の由来は「手の脂」即ち「惜しみなく手を掛けた」という事なのだろうと想像するのだが、腰の強い麺と優しい味のするスープを特徴とする同店のそばは、一度ならず二度三度と食べてみたいと思わせる。

丁寧に丁寧に盛りつけられたてぃあんだーの軟骨ソーキそば


その近くにある「イシグフー」では、沖縄そばで起業独立するための教育プログラムの提供までも行っているという。同店のウェブサイトを見て、思わず受講してみたいと思ってしまった。

しみじみと美味しいコザの宮古そば「愛」。いけない事と思いつつも、スナックで飲んだ帰りに大学時代の先輩と立ち寄る。


昔ながらの正統な調理方法に立ち返りながらも、オリジナリティをもって更に沖縄そばを発展させようというこれらのお店には是非頑張ってもらいたいと願うと同時に、そんな努力の賜物でもある作品のような沖縄そばは、値が張って然るべきだとも再認識した。

トップ写真:てぃあんだーの玄関で天日干しにされていた唐辛子。