(ダブル)スチール


パ・リーグから一週間遅れで開幕した我が阪神タイガースを擁するセントラルリーグ、巨人ファンの友人諸氏には大変申し訳ありませんが阪神にとっては4年ぶりの開幕三連勝というこの上ないスタートダッシュとなりました。
5ヶ月前に膝の手術をしオープン戦でも結果がでなかった金本選手の爆発、広島から移籍した新井選手の活躍、糖尿病を患っている岩田投手のプロ初勝利、福原投手の3年ぶりの完封等々、上出来すぎる程の横浜との三連戦では勝利の要因やトピックを沢山上げる事は出来るものの、個人的には第三戦で見せた赤星と平野のダブルスチールが最も印象に残りました。私の記憶力が悪いのかもしれませんが、ダブルスチールに関してはここ数年間無かった事の様に思えます。


それにしても、機動力を活かして塁上を引っ掻き回す1・2番、爆発力を備えた4番を中心にしながら連打も期待出来るクリーンアップ、福原や安藤等の完投も出来る先発投手陣、これらのどれをとってみても昨年のチームには無かった事であり、新井と平野の両選手の加入が功を奏しているにせよ、こうもチームがバランス良く変貌する物かと嬉しい驚きに包まれています。ホームランバッターをずらりと並べた巨人打線と比べると一目瞭然です。これらに加えて更に盤石な中継ぎ・抑え陣が控えている訳ですから、このチームが機能している限り巨人等恐れるに足りないとさえ思えてくるのでした。また、一つ先の塁を常に狙う姿勢、これこそが金本選手が昨年あたりに強調していた事でもあり、それに呼応するかの様な随所に見られる好走塁は、敵チームの守備陣にとって脅威となる事でしょう。


ただ、ダブルスチールがベンチからのサインではなく赤星と平野のアイコンタクトによる物だったとのサンスポの記事もあり、一瞬でも岡田監督の采配に変化ありか?と思った誤解故なのか、つくずく不思議な監督だと改めて思った次第でした。


話は変わりますが、先日の高校野球の試合で残念ながら敗退してしまった神奈川県の高校の捕手が、息子が所属する少年野球チームの先輩と言う話を伝え聞き、試合の際には仕事そっちのけでテレビ観戦をしてしまいました。小学校低学年の息子にとっても、また我々親にとっても見も知らずの選手ではあるのですが、彼があわやホームランかというフェンス直撃の2塁打を放った時や、牽制球で2塁ランナーを刺した時には思わず「よっしゃー」と声が出てしまいました。自宅でテレビ観戦していた息子も少しだけ野球を解って来た家人も同様だったと後で聞いたのですが、野球というスポーツは、小さな白球を巡ってこうも老若男女が熱中出来る物なのだなと思う訳です。


稀に息子のチームの試合を観戦する事があるのですが、成長の過程であるが故にまだ肩が出来上がっていない投手や捕手を尻目に、四球で出塁したランナーは2球後には盗塁で3塁まで達しており、場合によっては捕手からの悪送球でホームまで戻ってくる事もあります。見様によってはまだまだ野球になっていないとも言えるのですが、失敗を恐れずに隙あらば次の塁を、という子供達のゲームに対する姿勢には学ぶべき点もあるのではないかと、その必要も無いのに毎回必ずヘッドスライディングをしている息子の走塁を見ながら考えるのでした。

トップ写真:神宮球場で熱狂する阪神ファン。