スケールに圧倒される


前日の水沢に引き続き、北上でCATV局の皆様と打合せをさせて頂いた後、会議にご参加されていた方のご厚意で、春になると2Km以上も桜のトンネルが続く「展勝地」という所をご案内頂くと言う大変な幸運に恵まれました。
展勝地は人工であり、北上の山々を望みながら景観を楽しもうと言う何ともスケールの大きい構想で80年以上前に作られたとの事ですが、当然の事ながら桜並木もそれだけの年月を経ている訳であり、これだけ高齢の桜がまとまって毎年花をつけていること自体大変珍しいとの事でした。如何に地元の方々が展勝地を大切にしているかが、容易に理解出来ます。

ちなみに川の向こう岸には地元のケーブルテレビ局様が設置されているWebカメラがあるのを教えて頂き、是非来年の桜のシーズンにはライトアップされた映像を見てみたいと思います。ちなみに勿論「きたかみ展勝地」は日本の桜100にも選ばれており、また昨年はインターネットからのWebカメラのアクセスが吉野に次いで二位だったとの事です。

春には桜のトンネルに

さて、船、特に帆船であれば小さいものから大きいものまで幼少期から大人になった今でも大好きな私にとって、目を奪われる様な出来事に出会いました。

展勝地を抜けると東北随一の規模を誇ると言われる「みちのく民俗村」という施設があるのですが、何とその傍らにマストを備えた大きな船が2艇、1艇は川岸にあげられて、1艇は北上川から引き込んだ港になった運河に浮かんでいるのです。

北上連携号の船首と倒した状態のマスト。帆柱(ほばしら)と言った方がより似合います。

目を奪われて言葉を失っている私に、ご案内頂いたCATV局の方は懇切丁寧に解説をして頂いたのですが、実に美しいその船形に暫し見とれてしまいました。
「ひらた(舟へんに帯)」と呼ばれるその舟は、江戸時代から明治中頃にかけて水運で活躍した帆船で、川を航行するために船底は、サンゴ礁を航行するサバニ同様に真っ平らになっており、また帆船ではあるのですが無風の時には川の両岸にロープを渡して人力で曳航したとの事です。
当時は北上から宮城の石巻まで下り三日、上りは十日かけて航行したとの説明書きもありましたが、なんとこの船を復元した地元の方々は実際にその航海まで行なったとの事、何とも素晴しく且つ羨ましいクルーズかと思いました。

運河に浮かぶ天神丸

前述の展勝地の保全や、ひらた船の復元、船のスケールはもちろんですが、地元を愛し大切に文化を継承しようとするその行動力のスケールにも驚きつつ、東北岩手が発信する映像を都市部や別の地方でも見れる機会を作る事を是非とも実現したいと、強く思うこととなりました。

ちなみに前述の航海の模様をCATV局様が撮影したものがあるとの事、絶対見たい!

素晴しい体験をさせて下さった皆様に、心からお礼申し上げます。

トップ写真:ひらた「北上連携号」前で。長さは19m、幅4.4mの大きな船です。このサイズで150石(米350俵)を運搬したそうです。