最低50射


最近の弓道場での稽古の際には、最低でも50射を行なうというノルマを自ら課している。

今年前半は、仕事や仕事にまつわる精神的な余裕の無さから、足繁く道場に通って行射をすると言う時間が持てなかったため、今使っている強い弓を引く事が辛くなり、道場の先輩諸氏から弱い弓に変える様に頻繁に言われる様になった。今、弓力を落とせば二度とこの先強い弓が引けなくなるのではないかと勝手に考えた私は、これまでも不十分だった矢数を少しでも増やす事によって以前の力を取り戻したいと考えたのが、このノルマのきっかけである。

通常は一回の稽古で2時間程度の時間しか取れないため、事前事後の準備や片付けを差し引いた正味の行射時間を90分とすると、単純計算で一射当り2分弱。従い、的前では50射を行なう事は無理であるため、自ずと巻き藁での射が増える事になるが、連続して10射、20射を重ねる事は想像していた以上に体力を必要とする事に気付く。始めた当初は、特に弓手が辛く、涼しい秋の日に大汗をかく事もあったが、幸いな事に徐々に体が慣れて来た様でもある。
と、単に弱い弓に戻る事を敬遠して始めた矢数稼ぎではあれども、じっくりと巻き藁室にこもって一射一射を間髪入れずに、但し極力丁寧に繰返す事によって、次々に現れて来る自分の悪癖をこれまで以上にきちんと認識し、その結果少しずつであもあれども修正をする事が出来ている様な感もある。

弓を初めて7年、未だ駆け出し未満の私だが、そんな充実した稽古を心から楽しめている事を嬉しく思う今日この頃である。

トップ写真:横浜もすっかり秋の空に