螺旋階段

仕事の打合せのために、何年振りかの埼玉県のとある街を訪れる。

駅を降りた私は、恐らく同じ目的地に行くのであろうネクタイ姿の会社員2人がタクシーに乗込むのを横目で見つつも、健康と節約の為に歩いて目的地に行く事に決めている。

梅雨の合間の曇り空からは時折日が差し、ただでさえ蒸し暑く肌にまとわりつくワイシャツの中の空気を更に熱して発汗を促す。

目的地までの道のりの半ば辺りで、車がスピードを出して行き交う交差点に差し掛かった。
道路を挟んですぐ目の前にある道を行きたいのだが、辺りを見回しても横断歩道が無い。まさかと思いながらも確認した結果、どうやら幅10mにも満たない道路を渡るために、その4〜5倍もの距離を歩いて歩道橋を渡るしか無い事が判った。
健康と節約をテーマにしている私の様な人間にとってはそれでも良いのかもしれないが、これではお年寄りや足の具合が悪い人にはたまったものではない。
車社会故に車が優先されるというアメリカの道路行政でも、これ程の苦行を生身の人間に課す事は無いのではないかと思う。