真冬の春一番


久しぶりに訪れた真冬の北海道では予想した程の積雪もなかったが、それでも東京と比べるまでもなく本格的な雪国の様相を呈していた。復路の航空機は、土日に天気が荒れるその直前に無事に私を羽田まで運んでくれたが、東京についてからその荒れの原因がまだ2月半ばの春一番だったと知った。

春一番といえば、掃除したてのサッシの窓から差し込む暖かな光の中で埃の渦を躍らせる、春の季語だとばかり今でも思っている私にとっては、寒い北海道からの帰京とのタイミングとも重なって2月半ばの嵐にも似た強風には少し違和感を感じてしまう。


それにしても、どこのニュース番組を見ても繰り返される「最近10年間で一番早い」という文句には閉口させられる。恐らく気象庁の公式発表か何かをそのまま原稿に盛り込んでしまっているのだろうが、最近10年で一番早いという事が何を意味するのか、もっと遡ればどうなのかと、一般視聴者である私でさえ素朴に思う疑問を少しだけ掘り下げてみるという姿勢を持つ人は居ないんだろうか。


一方で、広く全国的に強風をもたらした春一番と違い、九州付近に限定されたローカルニュースであるが故なのか、中国大陸からの黄砂についての報道はあまり多くない。ニュースソースのメモを失ってしまったので記憶にある範囲でしか物が言えないが、春一番同様に黄砂の到来も例年に比べて早いという。これらが単に、季節周期のずれや前倒しを示すものならば良いのかもしれないが、黄砂が到来する環境条件に適合する期間が長くなるというのは大きな問題ではないだろうか。

いずれにせよ、単純な地球温暖化モデルでは説明が出来ないのかも知れず、また地球温暖化の原因や真偽も定かでないと思う(ここ数年は寒冷化していると言う説もある)が、天気予報には単なる天気を示す数値を横並びに報道するのではなく、事象をどう捉えて考えるべきなのか、道筋を示してもらいたいと思う。

トップ写真:雪に埋もれたベンチ。札幌にて。