どうなる、地方新聞の未来


WWW が World Wide Web の略語である事は誰もが知っている事ではありますが、何年か前に中国のインターネット事情に触れたテレビのニュースの中で、インターネットを中国語では「互連網絡」と表現する事を知りました。
そのインターネットを媒体として、今日ではパソコン上で誰もが気軽に動画を視聴する事が可能になってきています。場合によってはテレビで見るよりもよっぽど綺麗な画像で動画が配信されているケースさえあります。
また、同様に誰もが撮影した動画をインターネットを利用して発信する事も出来る様になりました。YouTubeに代表される動画投稿サイトがこれにあたります。これらのサイトに投稿された動画は、バイラルビデオとして個人のブログを始めとした従来にないメディアを伝って、同一のテーマに興味を持つ人々のもとまで極めて短期間に浸透していきます。このCGMの枠組みが、時に既存のマスコミの影響力を凌駕して、企業の商品の売れ行きにまで影響する事については以前拙ブログの中でも述べましたが、ブログが持つRSSやコメント、そしてトラックバックの機能は、今では個人のみならず企業のウェブサイトでも積極的に活用される様になって来ています。
こういったWeb2.0の枠組みこそがインターネットのポテンシャルを一気に開花させたと言える訳ですが、この潮流には、漢字文化で育った日本人の私にはまさに「互連網絡」という言葉がぴったり当てはまる気がします。


さて、この様なブログ形式による情報の配信形態を採用している企業のウェブサイトの多くに、新聞社があります。スパムコメントや迷惑トラックバックを避ける為に、これらの機能をあえて利用停止にしているサイトもありますが、最近ではソーシャルブックマークや記事の属性情報に動画投稿サイト同様の“タグ”を付与する等、様々な方法で情報の露出機会の増大を試みています。また、GoogleやAmazonのアフィリエイト広告もごく一般的なものになっています。


各地のケーブルテレビ局同様に、地域に根ざしたメディアとして長年に亘って地方の文化や経済活動を支えて来た各地の新聞社は、しかしながら少し視点を変えると、大手全国紙と同様に唯一の企業資産であるニュース記事の多くをウェブサイトで無料で配信せざるを得ない状況に追い込まれているとも言えます。
この事自体は、遠く離れた地域の新聞情報を得られる事になりますので、例えば故郷の日常の情報を欲している人や、出張や旅行で該当地域を訪問する予定を持つ人達にとっては大変有難いものには違いありません。ただし、同時に地域内での購読数の伸び悩みの原因の一つになったり、場合によっては減少にも繋がりかねない危険性を伴っています。しかも読者層の世代交代とともにこの危険性は大きくなるばかりでしょうし、そもそも人口流出等によって潜在的な読者数も減少していく方向にあります。


いかに地方からの情報発信と言う社会的に重要なメディアの使命があるとはいえ、インターネットでの記事の配信と平行して、新しくウェブサイトから収益を上げる仕組みをきちんと作る事の重要性は今後益々高まって行く事と思われます。


ここ数週間は、地域紙の発展や業界内での情報交換に長くかかわって来られた方と知り合ったり、私の故郷の新聞社の社長と久しぶりに電話で話したり、と新聞というメディアに関して考える機会が何度もありました。また、来週はローカルFM局の運営にも携われているとある地域紙の社主の方にお目にかかる事が出来そうです。
私の会社はデジタルビデオに関連した仕事が主な業務ではありますが、動画をベースにした私たちの技術やノウハウが各地の地域紙のビジネスモデルや未来に対してどの様な貢献をする事が出来るか、じっくりとディスカッションをさせて頂く良い機会になればと思っています。

トップ写真:シーズン到来を待つ私の愛艇。剣崎ヨットクラブにて。