ad.Youネットワークとスモールビジネス

さて、前述の様に地域のスモールビジネス*1専門のプロモーションサイトを立ち上げるにあたって、如何にウェブサイトのホスティングサービスが安価になり、また映像制作が身近なものになったとはいえ、当たり前ではありますが最も重要な事は何と言ってもお金の問題です。

ad.Youネットワークの中核をなす映像コンテンツは、YouTubeその他の動画投稿・配信サイトのそれと大きく異なり、はじめからコンテンツがCMそのもの、それも既存のテレビ放送網では決して流す対象ではない映像である事です。従って、本質的にはスモールビジネス事業者が広告費を負担した上でサイトに参加する事が望ましいのですが、その事一つをとって考えてみても整理して解決すべき問題があります。

例えば、仮に1回の視聴料金を30円と設定しそれを広告料としてスモールビジネス事業者が負担するとすれば、月に5000人がそのCMを視聴しただけで月間15万円もの費用が必要となり、地方の小さなお店が気軽に負担出来る広告宣伝費の上限をそれだけで簡単に超えてしまう事でしょう。

その場合は請求する上限を設定したり、あるいは人気店のCMに対して更に別の企業、例えば地元の酒造会社やビール会社、更には旅行代理店等のCMを掲載する等の措置を講ずる必要性が発生して来る訳であり、こういったインテグレーションがこのビジネスで最も重要且つ難しいポイントになる気がします。また一年前のエントリーにも書かせて頂いた様に、多くの新規顧客が店に殺到する事によって新規の客はもちろん地元の既存顧客に波及するであろうサービスの低下を危惧される店主の方もいらっしゃる訳であり、必ずしも広く万人に向けた映像CMが切望されている訳ではないという点も考慮すべきポイントでしょう。

先週末にCNETJapanで見かけた「Revver」に関する記事も、この類の問題の難しさを表している様な気がします。Revverは、映像の投稿者*2がその映像に対して付与された広告に基づいて収入を得られる事を最大の特徴としてYouTubeに対抗すべく開始されたサービスですが、若干の映像クリータの興味を引く事には成功したものの、肝心の視聴者が計画通りに集まらなかった為に広告収入が潤沢に得られなかった事が現在の企業買収の話に収束して行っているとの事です。
ad.Youネットワークの場合も、Revver同様に映像の投稿者にも利益を配分する仕組みによって、映像投稿のモチベーションを創出したいと思っていますが、Revverのケースに習って少なくとも二匹目の鯲を狙う様な事では話にならないと思うのです。


おまけ:MediaSaborというサイトで面白い家電製品のCMを見つけました。お時間が許す方は是非覗いてみて下さい。
ネット動画CM戦略は難しくない━ 弱者(中小企業)こそウェブマーケティングが重要
http://mediasabor.jp/2008/01/cm.html

トップ写真:大分駅近くで気軽に地元名物料理でもあるとり天定食が食べれる「大納言」。一人で出張に行った折に、ブログの紹介記事を見つけて入った店です。

*1:小規模商業施設、中小企業、特に本ブログでは飲食店や地域物産店等の大規模商業施設でない店舗を指す事とします。

*2:もちろん多くの場合は映像クリエータという事になります。