長き冬の時代


週末は2年ぶりと言う積雪に見舞われた関東地方でしたが、我が家では小学生と幼稚園の子供が狂喜乱舞、まるでやがては溶けてしまう雪との時間の競争でもしているかの様に、「雪だるまを作る」とか「いや雪合戦だ」とか、「ソリで遊びたい」と続けざまに遊びのプランが飛び出し、結局は全部やろうと決めたのか、時に横殴りの雪が舞う寒い戸外へ飛び出して行きました。
私はと言えば(今、ここで子供を放ったらかしてこっそり弓の稽古に行って家族からひんしゅくを買う可能性は何%位だろうか、雪の射場も乙なもんだぞ)などと考える間もなく、家人からの「ソリで無茶をすると心配だから子供達と一緒に遊びに行って下さい」との有無を言わさない指令に渋々と従い、長靴を履きジャンバーを羽織って雪の中を子供達のはしゃぎ声がする方へと向かったのでした。

結局その日は車での外出も諦め、従って節分の豆も買いに行かずに家で過ごす事になったのですが、案の定、想像した通りに日曜日から月曜日にかけて都市部では横転して怪我をする人が続出したと言うニュースを見る事となりました。更に、高速道路はもちろんの事、鉄道に至るまでの各種交通インフラが受けた雪の影響は大きかった模様で、毎度の事ではありますが日本の都市機能の脆さや弱さを感じつつ、月曜日の出勤となりました。

さて。この様に雪ひとつを例にとって考えても、スキーを始めとするレジャーをされる人にはもちろん、我が家の子供達にとっても楽しく嬉しいものであると同時に、交通インフラやその他に及ぼす悪影響も見過ごす事が出来ない負の要素も併せ持つ様に、何事にもこの様な二面性が存在すると思います。「過ぎたるは及ばざるがごとし」との格言にもある様に、要するに程度やバランスの問題である事も明白でしょう。

ここ数日間は、当社にとってまさに今直面している冬の時代も、同様に二面性を有するものだと考える事が多くなりました。

当社が昨年の初夏の頃からサービスを提供している、地方のコンテンツの交換・流通の為のデータベースサービス「Vojkru」の収益は、実は当初の計画を大きく下回る結果しか上がっていなかったのです。当社の営業チームの努力によって、日本全国から30局近い賛同や参加の表明はあったものの、まだまだトライアルユースや固定料金の発生しない従量制課金方式の契約しか得られずに、従って実は当社の経営資源は逼迫の一途を辿っていました。
そんな中、事業計画の見直しを迫られつつ、また再度マーケットの特性や本当に喜ばれるサービスや製品とは何なのかと繰り返し繰り返し、何度もの何度も考えた結果、やっと事業に一筋の光明が見え始めたのでした。

「ad.Youネットワーク」と名付けたその計画の内部プロジェクトコードは「縁側の再生」。

昨年末には関係者と数多くの議論を重ね、ビジネスモデルを様々な角度から検討し、そしてようやく事業計画書が完成する所まで漕ぎ着く事が出来ました。そして今思えば、Vojkruが計画通りに推移していたなら、この計画をこのタイミングで手にしている事もなかっただろうと、雪の二面性にこじつけてみた訳でもあります。

止まない雨も終わらない冬もない様に、この当社の冬の時代が必ずや近い将来の芽吹きの礎になる、と素直に思う事が出来る、そしてad.Youネットワークを一日でも早く現実のものとして世に問うてみたいとワクワクしている今日この頃でした。

トップ写真:私も一度、子供を押しのけて乗ってみた古いプラスチック製のソリは、しばらくしてバラバラにくだけてしまいました(涙)。