弓の外竹縦割れ

外竹の破損を笄(こうがい)と言うらしいが、弓の師匠から預かっている大切な肥後三郎の縦割れの補修跡が浮き上がって来た。
これは一大事と道場の先輩に相談した結果、浮き上がった部分を貼付ければ良いとの事、弓を自宅に持ち帰り修理を試みる。

自宅の居間に置いた二張りの弓を見て何事かと子供が様子を見に来たのを幸いに、
「弓の練習をしてみる?」
と誘導し、暫し二人でゴム弓で遊ぶ。


縦に割れた外竹

「大木を抱く様に」
と教わった弓構えでは、
「まあるいビーチボールを抱っこして、それが落ちない様に肩の力を入れずに二つの手を上げてごらん」
と言葉を変えながら、最後の離れまでの一通り動作を教え、それを何度か繰返す。思わず私にとってこの上ない楽しい時間となる。

ついでに一燈斎の下切詰籐が解れてしまっているのを直す。これは極簡単。


さて、いつも道場では気忙しく射場と巻き藁室を行き来するだけで、時間が勿体ないからと弓その物にじっくりと向き合う事がこれまでは余りにも足りなかったと気付かされた。
改めて落ち着いて弓を見てみれば、弓の汚れや籐の解れ、関板の痛み等、普段は気がつかない弓の様々な事に思いが及ぶ。
NHKの「弓ひとすじ」という番組で肥後三郎の弓打ちのシーンを見た事を思い出しながら、弓の成りや育て方についてもっとしっかりと学ぶ必要があると考えた。今晩は録画したその番組を見直してみようと思う。

トップ写真:狭い以前の自宅では、この様にゆっくりと弓を並べてみるスペースさえなかったが、改めてこの様に眺めてみれば弓の大きさ(長さ)が良く解る。