利便性は人口流出を抑制するか?


元来が映画好きの私ではあるが、映画館に足を運ぶ機会も近頃はめっきり減ってしまっている。
今年に至っては唯一、あの映画館の大スクリーンで見た映画が「崖の上のポニョ」。勿論、子供にせがまれて連れて行ったのではあるが、40代も半ばに差し掛かった私にとっては少々辛い内容の映画だった。

今回の民主党の政権奪取が影響しているのか、そのポニョの舞台にもなったという広島県の鞆の浦公共工事の差し止め判決が出たと言う。

歴史的景観を保護すると言う工事反対派に対立する推進派からは、道が狭くすぐ渋滞する様な不便な土地だから若者が居着かない、という意見が出たらしいがこれは全くの逆では無いだろうか。
便利にする為に少し位ならと景観を犠牲にし、海を埋め立てて護岸をコンクリートで固める、という半世紀の間日本中の地方が繰り返して来た公共工事こそが、故郷に対する愛着や帰属意識を希薄化して来た最大の原因ではないかと思う訳である。

独自性、特異性を失った地方都市程、魅力を感じられない惨めなものは無い。

トップ写真:Asahi.comの記事より。