「3位に浮上したものの」を撤回


東京駅での朝の打合せ、午後一からは銀行で目の回る様な月末の処理、その後も息つく間も無く2件の打合せを終えたのが夕方の6時。寄る年波故か疲れを隠せない私をねぎらうかの様に、最後の打合せの相手K氏が食事に誘ってくれる。場所は恵比寿。

程良く酒が回った頃になって、熱烈な阪神ターガースファンであるK氏も私も、「ちょっと失礼」と言いながら携帯電話で野球の途中経過をチェックする頻度が高くなる。
「いっその事、これから神宮に行きませんか?今から移動すれば8回には間に合うと思いますよ。」
聞いてみると、K氏は既にチケットを購入済みであったにもかかわらず、私を気遣って食事を共にしてくれていたと言う事がわかった。

そんな彼の心意気に打たれた私は否応無くその誘いに応じ、グラスに注がれたばかりの焼酎の水割りを一気に煽ると二人で小雨降る夜の街に飛び出してタクシーを拾った。

夕方の雨を見ながら、もしかすると今日の試合は中止になるかもしれないと考えていた。想像通り神宮のグランドもスタンドも絶え間なく降り続く雨に濡れていたが、人影まばらなヤクルト応援団と比べてレフト側の応援団の熱気はすさまじい。老いも若きも、女性も小さな子供も目を輝かせながら選手の一挙手一投足を見つめている。

ああ、野球はCSに出る出ないではなく、今年のチームを生で一試合でも多く観戦したい、この一点に尽きるんだな、と初めて買ったスリーイニングスチケット(外野席大人1,000円)をポケットの中で握りしめつつ、遅きに失しながらも悟ったのであった。

トップ写真:降りしきる秋雨もなんのその、大いに盛り上がる三塁側スタンド。