ブタの丸焼き2009

かねてより一度は体験してみたいと思っていたブタの丸焼きを実現する事が出来た。10数年来所属しているディンギーやウィンドサーフィン中心のヨットクラブ「剣崎ヨットクラブ(神奈川県三浦市)」のオープニングパーティの幹事を(自ら率先して)仰せつかる事になり、30〜40人の屋外での宴会を自由に企画して良い事になったからである。

千載一遇のチャンスに恵まれた私は、早速準備にとりかかる。

インターネットで検索してヒットしたいずれの業者も関東圏外の業者であるが、羽田空港までの航空貨物による配達が可能であると言う。もろもろの条件を勘案して、最終的には沖縄県那覇市金城畜産さんにお願いする事に。豚の丸焼きの代金(14Kgで36,000円)に加えて航空貨物代金7,000円が必要になるとの事だが、仮にパーティへの参加者を35名とすると一人当たり1,200円少しの負担額、丸焼きの際に落ちる脂と骨等の重量を差し引いた実質の肉の量を10Kgとしたら一人当たりの割り当ては285gと十分な量になる計算である。


さて、連休前に注文を済ませた私は、5月9日の始発便で到着するのを待つばかりと思っていたのだが、ここで思わぬ落とし穴が。

沖縄からの始発便が到着するのは10:30。JAL Cargoに確認したところ、荷物の受け取りは航空機到着から混み具合によっては1時間かかる場合もあり、航空機そのものの遅延があった場合はその分だけ受け渡しも遅れるという。

これでは、受け取りは最速でも11:30、場合によっては12:00を超えることも考えられるため、羽田から1時間弱かかる剣崎ヨットクラブでのオープニングパーティに間に合わない。

検討した結果、金城畜産さんにお願いして前日の最終便で送ってもらうように変更し、そのままクラブに持ち込む事とした。最終便にしたのは暖かいまま送られてくる豚の丸焼きを口にするまでの時間を少しでも短くしたいからだったが、その結果クラブに持ち込む時間は夜中の1時近くになってしまい、仕事を終えた後の運搬作業に疲れた私はまだ生暖かい子豚と、人気のないヨットクラブで水入らずの一晩を共にする事になってしまった。

翌日は、久しぶりの好天も味方して予想を超えるメンバーの参加があり、盛況のうちにパーティーを実施することが出来た訳だが、思った以上に柔らかく美味しい肉質と、耳や脳みそといった各部位の味を皆で堪能した。小さな包丁とキッチンバサミだけで簡単に解体できた豚は、そのまま頂くだけでなく、30人分のチャーハンの具にしたり、骨は最後のラーメンのとんこつスープ用にと、残さず有難く頂いたのであった。



豚を解体する前には、ヨットクラブの会長の先導で全員が思い思いの方法で豚に祈りを捧げたが、これははるか南の島から我々の胃袋に納まるために短い豚生を終えてやってきてくれた子豚へのせめてもの供養と、この日を持ってシーズンに突入したヨットクラブや、三浦海岸での海の安全の祈りをかねたもの。梅雨明けには毎年大勢の海水浴客が訪れる三浦での、悲しい水の事故が一件たりとも起こらない事を切に祈るのである。

トップ写真:中はまだ暖かい状態で到着したブタの丸焼き。