総帆展帆

子供の頃から大型帆船の登檣礼(とうしょうれい)を一度は見てみたいと願いつつも、いまだに実現しないまま何十年の月日が流れてしまった。全てのマスト・ブームに乗組員が配置し、「ごきげんよう!」といっせいに号令を発して帽子を振る儀礼を登檣礼と呼ぶと知ったのは、まだ船乗りへの夢をあきらめきれなかった頃に買った、東京商船大学の訓練用帆船日本丸を被写体とした「帆船の詩」という写真集だった。
その日本丸も世代交代し、また海王丸は座礁というショッキングな過去から復帰したりと、色々な出来事を経てきているが、開港150周年を迎える横浜で今年、何と初代・現在の2隻の日本丸海王丸の合計3隻による総帆展帆が行われるとのニュースが目に留まり、帆船オタクの域に達している私の心が既にときめき始めている。以下は神奈川新聞のサイト「カナロコ」からの引用。

「海の日」の七月二十日は、みなとみらい地区に係留されている「初代・日本丸」と「日本丸」、「海王丸」の三隻が、すべての帆を広げる総帆展帆を同時に行い、横浜開港百五十周年に華を添える。
海上自衛隊砕氷艦「しらせ」は二十五、二十六日、秋の南極での観測を前に一般公開。海事功労者を表彰する二十三日の記念式典には、秋篠宮ご夫妻も出席予定という。

「海フェスタ」は全国の主要港湾都市で毎年開催されている。横浜では、横浜博が開かれた一九八九年以来、二十年ぶり。横浜開港百五十周年記念事業の一環で、会期中のイベントへの参加はすべて無料。


その際に登檣礼が行われるかはわからないが、少年時代に一般公開があると知って電車を乗り継いでわざわざ神戸港までに見に行った海王丸を再び見ることが出来るどころか、日本丸を含めた姉妹母娘3隻による総帆展帆が見れるめったに無い機会である7月20日を、私以上に心待ちにしている中年は恐らくいないだろうと断言できるのである。


トップ写真:日本丸メモリアルパーク公式ページで配布されているPC用壁紙。