矢の行方

私の様な初心者が弓道に関する記事をブログに書くのは実に難しい。

それは指導頂いている先生や先輩このブログを覗かれて注意されると言う意味ではなく、私がつたない感想や疑問を書き連ねる事によって、読者に対して私の指導者の技量に疑問を抱かせる事にもなりかねないからであり、従って出来の悪い駆け出しの独り言だとお断りをした上での記事とさせて頂きたいが、4〜5年間に亘って何度教わっても意味が分からなかったある疑問が少し明らかになった様な気がする嬉しさに任せ認めて見たい。

高段者の射を後ろから盗み見る事は、例えば他人の弓懸けの弦溝を見たりする事同様のタブーではあるが、では同じ道場の同級生や後輩ならば許してくれるだろうと、先週末の射会の際に、大三から会に至るまでの矢の方向や狙いに注目して数人の射を後方から見てみた。もちろん、それらの方々には自分が見た事やその感想を後できちんとお伝えしたのだが、実はその日初めて、矢の飛んで行くであろう方向がほぼ間違いなく予測出来る様になったのである。

中には足踏みの時点で的の延長線上から著しく両足先がずれてしまっている人が意外と多いのには驚いたが、教本通りの綺麗な足踏みであったとしても、会に入った時点での妻手の納まり具合によって、それが浅ければ矢は左方向を向く事になるが実際の矢所は的の右に、深すぎれば的の左に飛ぶのである。

指導者の先生に、大三以降の妻手の軌道や肘を閉める事を再三にわたり注意頂いた事の意味が、もちろんまだまだその通りの射は出来ないにせよ、やっと少し解った様な気がすると同時に、まだまだ長い長い先の道のりを痛感してしまう。


話は変わるが、ある人との酒の席で幾度となく同じ会話になった事がある。彼は、ゴルフについて熱弁し、ゴルフに興味が無い私は弓道の事をと、好きな事を交互に語っていたのだが、ある時この共通点等一切無さそうな二つの競技に意外と類似点がある事に気がついた。

例えば弓道<->ゴルフの順に並べて対比してみると、足踏み<->スタンス(数mmのずれが大きな方向のずれの結果になる)、離れ<->スイング(両方とも横や斜めの回転を前方向へのパワーに変える)という発射の際の動作はもちろん、手の内<->グリップ(弓では手の内10年、ゴルフではグリップが8割と言う)の大切さと難しさ、又は双方とも全身が発射装置と化す事や、或は的やカップを前にした精神の集中に至るまで、驚く程に類似点がある様に思った物である。

ゴルフでは初心者ほど右に飛ばしてしまうという事もあるらしく、これも弓道に当てはまるのではないだろうか。私が初めてゴルフに興味を示しなるほど面白いスポーツなのだなと解った頃のエピソードである。ゴルフの事など考える暇があったら道場に通って矢数を増やしなさいとのお叱りを受けるかもしれないが、矢飛び繋がりで思い出したので紹介をさせて頂く。


いずれにせよ、この様に私の様な出来の悪い弟子に辛抱強く接して指導下さる先生には、心底頭が下がる思いなのである。

トップ写真:道場の大先輩の的心皆中。私は、4ツ矢の際に2本が的心に中った事があるが、気持ち良くそして嬉しい物である。