サッカーゲーム


タバコの煙やすえた匂いが立ち籠める薄暗い酒場、一日中家族連れで賑わうマンション群に隣接する居酒屋、怪し気な女性が奥からこちらを見つめるバー、私が過ごしたスペインの街角のあらゆる場所でサッカーゲームは存在感を放っていた。
それは、ハンドルで人形を廻して小さなボールを相手ゴールに入れるテーブル型のゲームで、今の事は分らないが、あの頃は1ゲームあたり確か25ペセタだった。
最初にスペイン人と対戦した時にはボールに触れることすら出来ない完敗だった事や、徐々に腕を上げながら帰国する頃にはむしろ積極的にスペイン人との対戦を楽しんでいた事を思い出す。


子供を2人連れて立ち寄った上大岡のスポーツ品店でそのミニチュア版を見つけた時に、思わずあの頃の想い出が頭の中を駆け巡り、買って持ち帰った時の家人の顔も忘れて衝動買いをしてしまった。
夕食もそこそこに、息子、娘、そして家人との対戦約30ゲームを当然の全勝で終えた私は、衰えつつある動体視力の事はさておき、テレビゲームにはない面白さを再認識している。


これだけサッカーがメジャーなスポーツになった日本なのだから、デパートの遊具コーナにもこの木の温もりを宿したサッカーゲームを是非常設してもらいたい物だと無責任ながらも思うのである。

本物は、操作するハンドルが4本、従って2x2の対戦も可能なのだが、このミニチュア版は2本だけ。それでも十分に楽しめるゲームである事には間違いない。これなら、テレビゲームでは歯が立たない子供に負ける事はないのだが...。値段も手頃なこのゲーム、皆様も年末年始の家族団欒に如何がだろうか?