手の内と弓懸けのバランス


弓の先生にお借りしている大切な肥後三郎を手にして臨んだ最初の射会で、思いもよらずに10射7中の好成績を収めたのがピークだったかのように、その後の射は下降の一途を辿り、遂には安土まで矢が届かない事態にまで陥ってしまいました。それなりに強い弓をひきながら安土まで届かない情けなさといったらありません。

その後徹底的に手の内を見て頂き、今でも駆け出しではある事に変りはありませんが弓を始めた当初に教わった手の内の作り方が、5年以上の月日を経た今でも殆ど身に付いていない事をお恥ずかしながら再認識させられる事となりました。

さて、2ヶ月間にわたって手の内を意識した稽古を経て、少しずつ矢飛びが良くなってきた感のある先月の事、いつも指導を頂いている先生の眼についたのは今度は長年親しんで来た弓懸けでした。
東京は魚欄坂にある弓具店で幾つも出して頂いた弓懸け中から選んだ筈のお気に入りではありましたが、私の弓懸けでは今の強い弓には合わないというのです。弓が変わって手の内が直ったと思ったら今度は弓懸けが合わない、何と弓道とは奥の深いものかと改めて感じる事となりました。と同時に、きちんと面倒を見て下さる指導者の存在が如何に大切か痛感するのでした。


そんな私に、先生の一人が試す様にと道場にお持ち頂いた弓懸けは、これまでのものとは全く違うものと言って良い程で妻手をしっくりと包み込んでくれます。以前、この弓懸けを使っていた方は何と弓が吹き飛んでしまう事が多かったために使わなくなったとの事だそうですが、今の所はその様な恐ろしい眼に遭う事もなくポツポツと中りも出始めています。

トップ写真:本文でご紹介した、私のもとにやって来た新しい弓懸け。実は本日の射会で私も弓を飛ばしてしまいました。