幼稚なビジネスモデルと著作権の壁に玉砕


食べ物を扱ったブログは数多く存在します。

以前の職場でも、東京に出て来て以来、自分が外食した際には必ず記録をかねて食事を撮影しているという同僚がいたのですが、端から見ている限りは決して行儀の良いものでなく、またその必然性にも疑問を感じていた事を思い出します。ところが、それからほんの数年しか経っていないにもかかわらず、そうした所謂“ブロガー”といわれる人たちが食べ物に関するコンテンツをコツコツとウェブ上に電子的に検索可能な状態で蓄積し、そして蓄積されたコンテンツそれぞれがトラックバックやコメントと言う形で連携し始めた今日、市販の旅行ガイドブックではなかなか得る事が出来ない、同じ消費者や旅行者と言う視点からのコンテンツによって、様々な恩恵を受けている自分に気づかされます。

現在の仕事では自ずと地方に出張する機会が多くあり、基本的には食文化をも含めて地元を知りたいという気持ちははもちろん、出来れば恋に疲れた地元の美人と知り合ってさりげなく慰めて名も告げずに去って行く、それが駄目なら地元の気さくなおっちゃん・お兄ちゃんと知り合いになって楽しい酒を飲む、と言う事を十数年来にわたって出張時の夜のテーマにしている私は、それらを行動に移す為の情報、特にエリアや店の情報がなかなか得られないために、以前のCMの価値について述べたエントリーの中でも、これから訪れる地域のCMをどうにかして“事前”に入手出来ないものかと考えてみた事もあった程です。

実際に出張に出た際には、この様なブログからタイムリな情報を得て、ただし残念ながら恋に疲れた美人には会った事はありませんが、それでも地元の人で賑わう普段着の定食屋で美味しいお酒と郷土料理に巡り会う事が多いのです。食べ物だけでなく、イベントや観光地、そして観光地での遊び方に関しても実に多くの情報を得る事が出来る様になって来ています。

普段の仕事の中で、CATV局の自主制作番組をいかに流通させ、且つ新しいマーケットに露出させる事による新しい収益構造のを模索している関係と、この様にBlogが発達しCGMに大きな可能性を感じている背景から、実は二つのアイデアを暖めつつあります。


たまたま行なわれていたエイサー大会に見入ってしまいました。最高の気候と最高のロケーションでの、しかも普段着での伝統文化継承の場。何とも羨ましく、そして幼稚園児によるエイサー遊戯は実に微笑ましいものでした。考えてみると、これほどじっくりとエイサーを見たのは始めてかも知れません。女性の手の動きの艶かしさには何とも表現出来ないものがあります。

その1:BlogというCGMをCATV局がサポートする事による新しいコンテンツの露出形態の確立
その2:CATV局制作の“地元のお店紹介”的番組の、空港売店やインターネットでの販売

その2については、いずれ本ブログでも触れる事にしますが、その1に関するアイデアをを私なりにまとめ、とあるCATV局に話を聞いてもらう機会を得ました。

一介の旅行者は、自分のテーブルに運ばれて来た料理の写真をこっそり撮影する事は出来ても、なかなか忙しいお店の人と話したり、ましてやインタビューを動画で撮影する事は出来ない筈であり、個々のブログの充実の為に例えば店主の映像や近隣の映像等をパーツとして無償で提供するサービスは成立するのではないかと考えた訳です。もちろんブロガーに対する動画パーツの提供だけでは利益を生む事はありませんので、そこに関しても一工夫を凝らして提案書をお持ちしたのですが...。

頂戴した答えは、例え映像パーツとしてであっても、そもそも消費者がある意味においては責任を持たずに発するCGMに対して、公共性や企業責任を有するCATV局がコンテンツを提供する事は出来ない事、そしてもう一つは著作権に関する処理が現時点では不可能である事、の2点でした。
肖像権や著作権、例えば放送で使われているBGM一つとって見ても現状ではCATV局での放送という形でのみ許諾を受けており、それをインターネットで配信する事は許されないと言う事、それを回避するには場合によっては音楽の質、結果として番組の質を下げざるを得なくなり、本末転倒になりかねないとのお話で、結局の所は勇んで提案書を携えた今回の訪問はあっさりと玉砕となってしまったのでした。従って今回は、私の勉強不足と考えの浅はかさを痛切に思い知る事になった訳ですが、大変有難い事にもう一度提案のチャンスを下さる事になりました。

さて、打開策はあるのか!?

私にとっても、当社にとっても何としても実現したい大切なビジネス、更にアイデアを練って、次回は終始こちらが勉強させて頂く結果だけに終わらない様にしたいと思っています。

トップ写真:久しぶりに訪れた名護の漁港で見かけた、エンジンを装備した現役の古式サバニ。かなり高齢のお爺さんが元気に漁をされているそうです。言葉では尽くし難い、実に美しいフォルムだと思うのは私だけでしょうか。