みちのく一人旅


先々週末の石垣行きで異様に日焼けした顔そのままに、人生で3度目の岩手に来ています。1度目は東京大学の海洋研究所時代に先輩の研究者と大槌という港町の研究施設に(何をしに行ったのかは忘れてしまいましたが)車で訪れた時、そして2度目は義父がまだ元気だった頃に、義弟の結婚式に出席した時です。
今までの訪問の事は、大槌で始めてサンマの刺身を食べた時の驚きや、結婚式の披露宴の二次会で食べた冷麺の事がやけに記憶に残っている程度で、残念ながら本能に直結している食べ物の事以外には、車窓の外を流れる遠野の風景や、ひょっこりひょうたん島を背景にした海の景色と飲みに行ったスナック(何と付け出しがサンマの刺身でした)の事位しか覚えていません。

注)今では東京でもどこでもサンマの刺身は珍しくなくなってしまいましたが、当時は本当に驚きました。

今回は仕事とは言えども、これまで以上に地域と密接に関係していくステップを作る為の訪問であり、従って盛岡の街を歩く人たちの表情や、話されている言葉の端々のイントネーション、道ばたの植物やそれを揺らすそよ風に至るまで、知らず知らずのうちに色々なアンテナを開いて見聞きしている自分に気づかされます。

写真:盛岡は冷麺だけではありません。さっぱりと美味しい「ひっつみ」は、ほうとうのにゅう麺バージョンのような味でした。

二日酔のまま名古屋から新幹線に乗って東京で広島の方との打合せを終え、事務所に戻る時間もなくまた東北新幹線に飛び乗ってという行程でしたが、一日目の昨日は情報処理学会の研究会が行われていた盛岡での宿泊、駅にほど近いビジネスホテルでの一夜となりました。昔の恩師を囲んでの、今では立派な研究者になられた元学生の方々の宴席に参加させて頂き、基本的には皆さんのお話を聞く様に心がけつつ「朝びらき」というおいしいお酒をちびちびと頂いておりましたが、皆さんのお話の行間に、活性化どころか活気を失って行く地方を憂う様な気持ちが見え隠れし、大変共感を覚える事になりました。
一夜明けて本日お邪魔させて頂いた岩手県立大学では、実にさわやかな風が吹き抜ける、そして研究の匂いがするキャンパスを散策させて頂き、学問の追究を夢見た事もある学生時代を思い出したりもしました。当社のビジネスのアウトラインについてお話しをさせて頂いた教授からは、私たちのビジネスの考え方に対する賛同と同時に励ましの言葉をも頂戴する事ができ、また一つ事業の具現化への階段を上る事が出来たのではないかと思いました。

岩手県立大学正門よりキャンパスを望む

午後に訪問させて頂いたCATV局では、例えば東京にある県人会から現地の映像を見たいと要望されている話等をお聞きし、県内のCATV局間の番組交換のみならず全国規模での配信を実現する為には何が必要で何が問題として存在するのか、また新たな収益構造を産む仕組みを如何にして実現すれば良いか、大変突っ込んだ実に密度の濃い議論をさせて頂きました。なんと、来月初旬に行なわれる現地のCATV協議会主催のイベントでセミナーやデモをさせて頂くお話まで頂戴する事が出来、大変実りの多い一日とする事が出来ました。

午後に訪問させて頂いたCATV局近辺の駅前通り。残念な事にシャッター通りを見る事になりました。

もちろんビジネスの収穫はおろか育てる事さえこれからの課題ではありますが、取り敢えず種をまく事は出来たのではないかとの感激を旨に抱えつつ、本日の宿泊先である遠野に向かう釜石線の車両の中からのポストでした。

トップ写真:結局食べ物の話になってしまう様ですが、写真は、いけないと思いつつもついつい完食してしまった酒の後の盛岡の冷麺(劇辛)です。