沖縄の魚

ネクタイから銛へ 沖縄はヤンバルの村で漁師になって1年半以上が経過した。琉球大学を卒業した後も、学生時代の縁や帆掛けサバニの活動を通じて付かず離れず沖縄と関係していたとはいえ、東京の港区で神谷町のマンションに住みながら、虎ノ門の事務所に通う…

謹賀新年

新年明けまして御目出度うございます。 謹んで新年のお慶びを申し上げます。旧年中は公私にわたりまして大変お世話になり、誠に有難うございました。政治も経済も、国内も外交も、個人も社会も、あらゆる意味で問題が山積みではありますが、朗らかに前向きに…

オガウエガイキハチムモモモン

故筑紫哲也氏の番組を見て涙したことがある。各国を歴訪した江戸末期の外国の外交官の記録の中に「この国の人々は、貧しくとも一様に礼儀正しく勤勉で、家々の鍵も掛っていない。何よりこれ程朗らかな子供の笑顔を初めて見た」との、日本に関する記述があっ…

朽ちゆく宝

友人から、那覇のホームセンターにサバニが置いてあるとの情報を貰った私は、早速仕事帰りに立ち寄ってみる。よく見ると件の舟はサバニではなく、大正時代に和船の長所も取り入れて考案された、奄美大島のアイノコだった。サバニは他の地域の海事文化に強い…

飽食の島

貧乏学生だった私にとっての当時の最高の贅沢は、辻にあったステーキハウスの定食と、海人修行をしていた辺戸名の食堂のボリューム満点の肉そばだった。それから20数余年。カレーライスにライスを注文する程の食欲は遠い昔に失ってしまい、人様より少し多め…

ナイチャーの孤独

学生時代、与那原の酒場街で乱闘騒ぎを起こした後に、酒に潰れてスナックのソファーで寝てしまった事がある。翌朝一人目覚めた私は「戸締りして帰って下さい」との書き置きが添えられた鍵を目にして驚いたものだ。若気の至りの反省と共に、おおらかで優しい…

貝のアンダースー

干潮で露出した岩や石ころだらけの海岸を歩く。岩のあちこちには、ミナ(長崎の方言名、蜷貝やシッタカとも呼ぶ)が沢山へばりついていて、一つずつ持って来た篭に入れていく。やがて夕暮れを迎えようとする海辺に、穏やかに寄せる波の音と、老いた母や子供…

ミーカガンの泡

「ミーカガンが出来たよ、お風呂で試そう」と、下の娘との入浴。私の手には加工したてのミーカガン。レースと言う形でサバニに乗って6年、今までは興味がなかった木材の名前に触れる機会が増える。ミーカガンの材料はモンパノキ、サバニの船体は飫肥杉、フン…

帆掛けサバニの魅力

サバニ帆漕レースのスタートである慶良間の島々は、どんな言葉によっても表現し尽くせない美しい海を湛え、そのエメラルドや砂浜の白と対局をなす黒い船体や赤茶けた帆は、この世の物と思えない程の存在感をサバニに与えている。沖縄の海辺に普遍的に存在し…

地域のブランディング

サバニを通じて知り合った米国の船大工・和船研究家のブルック氏曰く、「数ある和船の中でも沖縄のサバニだけが、レクレーション用途で脚光を浴びる事によって復活を果たした幸運な舟である」と言う。日本各地で、乗り手も作り手も途絶えてしまった和船を見…

海辺の暮らし

縁あって海人写真家古谷千佳子氏の作品をじっくり見る機会を得た。氏が描き出す銀海の世界には紛れも無く、私の結婚式に参列する約束を果たさぬままこの世を去った、大好きだった漁師の祖父の姿があった。 少年時代の夏の殆どを過ごした長崎県壱岐での夜、祖…

変わりゆく街並

琉球大卒業後の十数年間は東京で仕事に忙殺され沖縄から遠ざかっていた為、その間の中南部の街の変わり様には後に随分と驚かされ、道の変化には戸惑わされた。かつて入り組んだ裏路地にあった鄙びたおでん屋がいつの間にか大きな通りに面していたり、学生時…

海洋民族の記憶

今日、久末五勇士による130Kmに及ぶ決死の航海の話を耳にする機会は余り無い。帆掛けサバニを求め現地の友人と宮古島を巡ったある夏の日、立寄った久松漁港で次の話を聞いた。 伊原間までの先人の航海が、言い伝えられた時間では不可能だとする意見に反論し…

ウチナージラー

大学での講義中、西語の教諭はどことなくラテン系な、英語の教諭は英国紳士的な風貌だと感じていた。環境や生活が人の顔を作るという事は多分にある事に違いない。沖縄を離れ四半世紀経た私の顔はナイチャーそのもの、県出身の彫の深い紅顔の美少年だった友…

金城哲夫

琉球大学を卒業した後も俄には沖縄を去り難く、辺戸名の漁師の親方に頼み込んで漁の修業に打ち込んだ時期がある。山原の港町での毎日はそれ自体がエキサイティングなダイビング漁を基調とし、且つ毎夜の熱く激しい酒の席。長崎の漁師だった祖父の影響から海…

3.11

一年前の今日、初めて経験する強い揺れに襲われた横浜の自宅で私は、机に向かって仕事をしていた。丁度、沖縄の友人と話をしている最中の事で、彼からの「地震、大丈夫ですかっ!?」というメールを最後に、夜までの暫くの間、停電に見舞われて一切の情報か…

新年のご挨拶

昨年末より入退院を繰り返していた祖母の危篤の報にふれて、久しぶりの横浜での時間もそこそこに家族全員で沖縄にとんぼ返りした年末。久しぶりに集まった親族の願いが届いたのか、一時は会話が出来るまでに回復した祖母は、皆で年始を祝いなさいと言わんば…

沖縄そばと泡盛

琉球新報のコラム「南風」の寄稿で没にした原稿その2。未完成で少々荒削りですが...。 昔、法事で暫く那覇に滞在した後に横浜に連れ帰った長女が「横浜そば」を食べたいと言いだして笑わされた事がある。皆で一緒に食べた美味しい沖縄そばを横浜でも食べたか…

地域のブランディング

今の若い世代には想像もつかないだろうが、インターネットのブラウザで表示される情報は文字だけという時代があった。これはネットワーク通信に負荷をかけない為で、当時はメールに添えるサインも行数を控えていた程である。 それから四半世紀以上の時を経て…

久しぶりの自宅

約2ヶ月ぶりの帰宅。照れくさそうに私を見る次女の笑顔が印象的だ。息子とはかねてより約束をしていた、野球対決。フェンス代わりの土手やバックネットも備えられている近くのグランドで、ピッチャーとバッターに分かれての真剣勝負。打球が飛んだ方向によっ…

もうマスメディアは要らない

宮城県知事との会談の際の松本復興(元)担当相の発言が繰り返しテレビに流され、その都度不快な気分にさせられる。わざわざ来てやった客を待たせるとは何事だ、九州人だから言葉が荒い、と等と公言する知能の低い政治家に復興を任せずに済んだ被災者には、…

航空運賃は妥当か?

幼少期の殆どの夏を島で過ごした私にとって、石垣島や隣接する竹富島は筆頭に上げたくなる様な大好きな島である。沖縄本島ではもしかして既に失われてしまったのかもしれない、南国独特の空気をたたえ、また八重山そばや海産物、そして果物等の食べ物も非常…

敷居

とある案件の作業をしている。内容はウェブサイトの全面リニューアルで、そこに別に運用されているブログやネットショップを、操作方法やLook&Feelを含めて統合する事も含まれている。 ブログやネットショップはCMS(コンテンツマネージメントシステム)と呼…

責任

場合によっては事業の継続の是非さえも検討しなければならないとの考えを事前にウェブサイトで見て知っていた、気仙沼のとある事業者ご夫婦との打合せ。それと平行して、私のビジネスパートナーと、少しでも役に立つのならばと伴った息子による後片付けが始…

気仙沼

まるでCGで作られたかの様な東北での津波の映像を見てから一ヶ月半。 渋滞の中、午後9:00を既に過ぎてようやく気仙沼に辿り着いた私たちは、市郊外のパーキングエリアでキャンプを張り、未だに冷え込む夜気に塗れて夜を明かした。朝5時に起きて簡単な朝食で…

勇気を与える

最近耳に残る言葉の一つに「勇気を与える」というのがある。言葉を良く知らないタレントや若いスポーツ選手が良い意味で使っているつもりなのだろうが、与えると言うのは贈る、授ける、支給する等々、持っている側や立場が上位の者が不足している側に、物や…

古くて新しい命

糸満 海人工房・資料館の方からの連絡が入る。昨年末から今年にかけての数ヶ月間、残り少ない現役の舟大工である大城清さんの手助けも得ながら、ホコリと木屑によって文字通りに真っ黒になりながら修復をして来たサバニが完成し、来る連休には進水式を行う予…

今年も宜しくお願い致します。

新年のご挨拶に代えて (今年は都合により、新年のご挨拶を控えさせて頂いております)これまで取り組んで来た事業の問題や、中でも某企業の社会的にも許されるはずのない、とある対応が原因で、止む無く訴訟に持ち込まざるを得なかった事などが背景にあった…

iPadどうする?

プロのブロガーでもない私に、文章入力ツールとしての用途の為だけのデバイスを購入させてくれる程に、このご時世の我が家の財政はそうは甘くない。 そういった を論破すると言う観点ではなく、あくまでも冷静に私なりの利用シーンを考えてみた。 iPad版が秋…

金本の右肩

沈をした(ディンギー)ヨットに這い上がる事が出来ない程の、肩の痛みに1年以上にわたって苦しんでいた経験がある。これはこれで非常に危険な事である事は言うまでもないが、実はその頃には寝返りをうつという、たったそれだけの行為にさえも激痛が伴うため…

Twitterでのライブ中継

沖縄県国頭郡宜野座村役場の職員、教育委員会の先生、地元の海洋レジャー業従事者、著名な海洋アスリート、私のサバニチームのメンバーといった異なる職種や立場の人間が集まり、海からの地域活性化をテーマにした飲み会が企画された。 どうせならと、Twitte…

電子書籍の可能性

以前も書いた様に、海洋冒険小説が私にとっての読書の黄金ジャンルである。或いはスパイものやハードボイルドものでも同じなのだが、そこに登場する人物には、階級、性、名やニックネーム、更にはコードネーム等の実に多くの呼び名が存在する。海外を飛び回…

恵みの大地

春には土筆が顔を出すいつもの公園近くの傾斜の急な空き地で、食べるには少々育ち過ぎてしまったフキノトウを見つけたのは昨年の事。 排気ガスをまき散らしながら始終車が行き交う国道16号線からも数100mしか離れておらず、また住宅地の真ん中にあるそんな土…

瀬戸内の海

京都に住んでいた子供の頃には、家族ぐるみで行き来していた親戚の家に住む仲の良い従兄弟に会うために神戸に頻繁に訪れた。また、高校の終わりには親しくしてくれていた大阪の先輩とともに、坂本龍馬に憧れて高知を旅した事もある。 そんな限定された経験に…

写真に替えて

遠く左方眼下に目的地である神戸空港を臨みながら、姫路の手前上空付近で急旋回した機体は、登ってまだ間もない太陽に向かって徐々に正面に進路をとる形になってゆく。 陽の光に温められ始めた1月の冷えた瀬戸内海の水面は次第に靄を発生して、彼方に広がる…

いばらの海

最初にお断りしておくが、私は辺野古への基地誘致容認に関して賛成・反対の如何なる姿勢を示している訳ではない。 ヤンバルに生涯の友と呼べる幾人かの友人と潜水漁の師匠がいる関係で、必要以上に神経質に事の成り行きを見守って来た一人のナイチャーである…